イシカワメソッドとの出会い

ふくらはぎ健康法タオ 中園 徹
(柔道整復師・鍼灸師)

1)誰でも効果を出せる治療法を求めて ~本との出会い

2005年、整骨院を経営していた私は、治療家の熟練度に関係なく、誰が行なっても確実に効果の出せる治療法はないかと模索していました。当時私の整骨院には数十人の治療家がいましたが、 技術レベルや経験年数によって治療の結果に差が出ることが私の悩みだったのです。その時、大阪ジュンク堂で石川洋一先生の本「万病に効くふくらはぎマッサージ」に出会いました。「第2の心臓」ふくらはぎを揉むだけで全身の血行が良くなり、心臓病から高血圧、腰痛や肩こり、不眠症まで改善できる。「本当にそんなことが可能なのだろうか」私は半信半疑で石川先生の本を読んだのです。

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石川洋一著

「万病に効くふくらはぎマッサージ」

(マキノ出版)

2)激痛のふくらはぎ治療 ~石川先生ご訪問

本を読んだ翌月、私は石川先生が医師として25年以上もの間ふくらはぎを揉むだけで病気を治しているという事実を確かめたくて、六本木にある石川クリニックを訪問しました。私が治療家であることを石川先生に伝え、早速ふくらはぎ治療を受けてみることに。手術室のような小さな部屋でベッドに寝かされると、看護師さんが私の体を優しく押さえ込みました。「なぜ?」と思った瞬間、石川先生が腕をまくり上げ、肘を使って私のふくらはぎをもみ始めました。「グワッ!」ふくらはぎほぐしの痛みは激しく、脂汗が出るほど凄まじいものでした。

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拷問のようにも感じた治療が終わり、別室に招かれ石川先生とお話をする機会がありました。私が体験した通り、石川先生のふくらはぎ治療は痛すぎて10人中8人が二度と来ないそうで、先生も頭を悩ませていたのです。先生は「私は医者だから、ふくらはぎを揉む方法がよくわからない。あなたは手技療法の専門家なのだから、痛くなく、効果的にふくらはぎをほぐす方法を研究してみてください。」と言われました。私は「やってみます!」と先生と約束をしたのです。

石川クリニックの帰り道、六本木ヒルズのエスカレーターに登った時のことです。それまで感じていた出張の疲れによる背中の痛みが嘘のように消えていました。「やっぱり、ふくらはぎ療法はすごい!」確かな手応えを感じた瞬間でした。

3)新メニュー「ふくらはぎケア」は大失敗 ~リピーターはゼロで挫折

石川クリニックから帰って早速、私はスタッフとともにふくらはぎ治療の研究を開始しました。従来、私たちが行なっていた手指や手掌による手技療法だとふくらはぎは強い痛みを感じてしまいます。どうすればいいのか、試行錯誤して指で優しく揉みほぐす方法を体系化しました。それを「ふくらはぎケア」としてメニュー開発し、自費治療で患者さんにお勧めするようになりました。
しかし、ふくらはぎを深部までほぐそうとすると、気持ちよさよりも痛みの方がどうしても強くなり、患者さんが再来することはありませんでした。結局ふくらはぎメニューは失敗に終わったのです。石川先生の言われる通り「痛くなくふくらはぎをもみほぐすことは難しい」。結局、ふくらはぎ療法の開発は断念することになったのです。

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4)偶然出会った中国での手技療法 ~再度の挑戦へ

ふくらはぎ療法の失敗から1年余り、私は新たな治療法を求めて中国上海の治療院巡りをしていました。1日3軒の治療院を巡り、3日間治療を受け続けるという現場視察でした。3日目になると、施術を受けすぎて全身の皮膚がヒリヒリと日焼けのように痛み、マッサージを受けることができなくなっていました。

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そこで最後の治療院では、女性施術者に膝下のふくらはぎだけをマッサージするようにお願いしました。1時間あまり女性施術者が行なったのは、自分の膝の上にふくらはぎを乗せて、前腕でもみほぐす方法でした。非常に気持ちよく深いところまでほぐれる感じがしました。施術が終わった頃には、連日治療を受けすぎていた過剰反応による疲労感が嘘のように消えており、体が宙に浮くように軽くなっていました。「やっぱり、ふくらはぎはすごい!」「前腕を使うやり方なら、ふくらはぎをほぐすことができる!」と確信しました。

2週間後、中国式の前腕を使う手技を学ぶため再び上海に行きました。上海中医薬大学などにも行って相談する中、中医薬大学出身の中医師の方に出会い、中国式の前腕によるマッサージ法を教わることができました。その後6ヶ月間ぐらいかけて研究開発し、前腕を使って誰でもふくらはぎをほぐすことができる、タオ式「ふくらはぎケア」を構築するに至ったのです。

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上海中医薬大学

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中医師からの技術指導

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5)「ふくらはぎケア」の完成とご報告 ~石川先生のご逝去

石川先生からアドバイスをいただいて約2年あまり、やっとふくらはぎの深部を痛みなくほぐす方法を開発できました。時折、「ふくらはぎの開発は進んでいますか?」と石川先生からお便りをもらっていたので、嬉しいご報告ができると思っていました。ところが、石川先生は病院に入院されており連絡が取れなかったのです。数か月後、親族の方から石川先生が亡くなられたとのご連絡がありました。とても残念でした。

6)石川先生の1周忌での出来事 ~親子の涙のわけ

石川先生が亡くなられてから1年。先生を偲んでの一周忌に参加しました。先生にゆかりのある方達が多く参列する中、石川先生の妹さんから、先生がなぜ外科医であったのにメスを捨て生涯をかけて、ふくらはぎ健康法を広めようとされたのかエピソードを伺うことができました。その後の食事会の時、私の前に、母と娘の二人の親子が座りました。お話しを聞くと、娘さんは病院でいくら調べても原因も治療法も分からない難病に罹ったそうです。学校行くことも困難だった状況の中、藁にもすがる思いで石川先生のふくらはぎ療法を受けるようになったとのこと。すると少しずつ病状が回復し、元気に普通の生活ができるようになったそうです。石川先生には心から感謝していると涙ながらに語っておられました。「やはり、石川先生のふくらはぎ療法は本物だ」私は、ふくらはぎ健康法に無限の可能性を感じて、一人でも多くの人たちにふくらはぎのよさを伝えたいと強く思いました。