石川先生からのメッセージ

「ふくらはぎ」こそ「第2の心臓」

救急医療の外科医だった石川洋一先生は「ふくらはぎ」の持つ効果に着目し、メスを置いて30年以上に渡って「ふくらはぎ健康法(イシカワメソッド)」を研究し、啓蒙活動を行なわれました。石川先生のメッセージをお読みください。

(石川洋一著「万病に効くふくらはぎマッサージ」序文より)

はじめに

私が“ふくらはぎ治療”を始めて20年以上がたちました。その間の経験から「ふくらはぎは人体にとって必要不可欠な最重要な器官で、ふくらはぎ治療は全身の病気を改善する最も有効な治療法の1つ」であることがわかりました。本文で詳しく述べますが、健康なふくらはぎなしには、血液循環を正常に保って人間としての健康な状態を維持することができないのです。ふくらはぎは最近、「第2の心臓」などと言われますが、それ以上に心臓の働きをもコントロールする大切な器官なのです。

20年ほど前からマスコミなどを通して“ふくらはぎ”の重要性をアピールしてきましたが、ほとんど注目されませんでした。最近ようやく、血行改善に関してふくらはぎの大切さを説く声があちらこちらから聞こえるようになってきました。

しかし、私の研究ではふくらはぎの役割はもっとずっと深く広いもので、人間のすべての活動をコントロールする重要な器官であるといえます。人間のあらゆる行動や精神状態、すなわち過労、暴飲暴食、不眠症、精神的ストレス、体調の不良、心の苦しみ、病気などがふくらはぎに反映されています。

ふくらはぎを観察することで、体と心の変化が容易にわかります。たとえば、ふくらはぎを刺激するときに、ふくらはぎの温度や体から発する臭気などもバロメーターの役割をします。また、反対にふくらはぎを通じて、体の各機能を調整したり、改善したりすることができるのです。ふくらはぎの働きを高めることで自律神経の失調、組織の損壊、免疫の低下など、あらゆる病的状態から解放され、高いQOL(生活の質)を保ち、天寿をまっとうすることができます。このように、ふくらはぎをより深く研究する“ふくらはぎ学”を確立して、二十一世紀を代表する新しい医学として発展させたいと思っています。

ふくらはぎを調節することがいかに大切であるかを、より多くの人たちに理解していただき、また実行してもらいたいと考え、ここ数年普及活動を行ってきました。その一環として、クリニック内に「ふくらはぎ健康教室」を開いて、そろそろ二年になります。まったくの素人の集まりで、お互いにふくらはぎをさすり、つまみ、楽しくやっています。休まず長く続けている人たちはみな、体の芯から健康になり、美しくなり、喜んでいます。そして、家族、友人など「ふくらはぎ健康法」の輪を広げています。

ふくらはぎマッサージは、いわゆる“マッサージ”という小手先の医療行為のレベルのものではありません。人類の発生医学的に見た大自然の法則に従った深いものです。人類だけに与えられた高度の器官であるふくらはぎを通じて、体の各部より発する情報を受け取り、ホルモンや神経のバランス、免疫力の向上など、あらゆる病気の改善をもたらすことができます。

専門家でなくても、医学的知識がなくても、ふくらはぎをさすり、押し、つまむという簡単なことでみなが健康になれるということを知ってもらい、そして実行していただくためのガイドラインブックとなるようこの本を書きました。ふくらはぎの調整をずっと休まず続けてよいふくらはぎを保ち、病気知らずの健康な体と楽しい生活を実践してください。

2001年12月 石川洋一